2024年下期のはじめに

     

     今年中国では、春先から各地で洪水が発生している。集中豪雨によりダムの貯水量が限度 を超え、突然放流したために下流域で洪水が発生したケースが目立つ。雨量予測に対応した 貯水量管理を行っていれば、洪水を防げたかもしれない。


     7月に入り、毎日のように西安から各地の洪水被害のニュースが送られてくる。住宅街の 道路を激流が走り、橋や車が流されている。陝西省でも、南部の関中と西部の商洛で大きな 被害が発生した。中国も異常気象に対する防災対策が急がれる。


     

     

     

     

     

        …7月の西安…


     円安への対応

     

     4月に日本銀行が実施したドル売り円買いの効果はなく、円安状態が続いている。予算作成時には前期よりも0.6%円高になると期待を込めて設定したが、今の予測では予算比で7%近く下回りそうだ。そうなると、決算時に600万円程度の損失金が発生することにな る。何とかしなければ。


      確実性を優先して、経費削減の取り組みから始める。例外なく削減していかなければ目標 は達成できない。厚生行事は全てカット、備品購入は次年度へ延期、昇給や賞与についても 減額していくしかない。辛くて苦しい選択だ。


      次は、売上を増やすことで、3%の受注量増にチャレンジしていくしかない。厳しい目標 だが、これらが計画通りに実現できれば、損失金の発生は防げる。


     7月下旬になり、突然換金レートが円高方向へ動き始めた。驚くやら嬉しいやらだが、動きに落ち着きがなく、上がったり下がったりを繰り返している。またイライラが始まった。


     

     

     

     

     

     

     

     

     

     

     

     


     
     新卒採用を考える  

     

     新卒採用の主な目的は、本社で勤務する転属社員を増やすことだ。専任の日本語教育係を 置き、転属までの1年間日本語教育を行う。西安子会社にとっては最大の投資である。だが、 採用した新卒の中には、教育に耐えられず退職する者や、本社へ転属しても日本に馴染めずに辞めていく者がいる。苦労が多く、心配事の多い投資である。


     今年の採用予定人数は3名だが、損益状況が厳しくなるとこの投資は控えたくなる。だが、将来のことを考えれば、やらないわけにはいかない。悩んでばかりだが、解決方法が一つある。それは、本社が決めた入社から4ヶ月間の無償期間を、3ヶ月に短縮することだ。本社に前向きな検討をお願いする。



     

     

     

     


     …8月の西安…

     

     今年2度目の西安出張

     お盆休みに日本に居ても暑いだけ、秋の訪れが早い西安へ移動して気持ち良く仕事したい。そこで、8月9日に出発して、8月30日に帰国する予定を立てた。航空券を手配して みると、嬉しいことに運賃が前回よりも58%も安くなっていた。残る心配は台風だが、出 発日には影響なさそうだ。


     今回の出張から、荷物はスーツケース1個だけにした。その効果で、上海浦東空港到着後のタバコいっぷくが楽々移動。だが、外に出てみると猛烈な暑さで美味しさも半減。二本目 のタバコに火をつけていた。落ち着いたところで、リムジンバスに乗って上海虹橋空港へ移動する。


     西安空港到着が深夜近くになり、もうヘトヘト状態。次回からは上海で一泊だ。 休日に西安市内を視察してみた。すると、建築がストップしたマンション群やオフィスビル群が目立ち、寂しさが感じられる。高級レストランや高級ショップは閉鎖、西安No.1の 企業グループまでが倒産していた。コロナ前の西安の様子とはまるで違う。


     その他の変化としては、中国製EV車が数を増やし、韓国車が姿を消していた。EV車は中国が先行しているが、中国製バッテリーが世界のあちこちで火を噴いている事実を、西安の人達は知っているのだろうか。


     西安出張は予定通りにいかないもの、帰国予定日に台風10号が日本を直撃してフライ トがキャンセルされた。ゆっくりした台風の動きに合わせて帰国日を4日遅らせるしかない。

     

     



     

     

     

     ソフト業界の改革

     

     経験者採用の面接の際に応募者から聞いた話では、北京に事務所を置くソフト会社が一 斉にプログラマーを解雇しているそうだ。AI を活用しての自動プログラミングへの移行を 進めているらしい。西安でも日系の大手ソフト会社が、受け入れていた外注要員300名を全員解約したと聞く。ソフト業界はこれからどうなるのだろう。


     帰国後に日本のソフト業界のAI化について調べてみると、大手企業では予想していたよりも進んでいた。使用できる範囲はまた限られているが、AI化は間違いなく進んでいくだろう。


     振り返ってみると、本社が開業した1984年にもプログラミングの自動化について騒がれていた。だが、今も当時と変わらない手法で開発している。日本のお客様は贅沢で、ハイレベルな専用ソフトを求める。日本では完全AI化は難しいと思えるが、動きについては 注視していく必要がある。

     

     

     

     

     

     




     

     

     


     …9月の西安…

     

     在留資格認定申請 
      
     

     西安社員の本社転属は、2019年6月以来のことだ。今回の対象者は昨年8月に入社した社員で、既に李総経理の厳しい審査をパスしている。当社の在留資格申請の区分は「企業内転勤」で、これを選んだ理由は最も申請が受理される確率が高いこと及び提出書類数が最も少ないからである。


     大半の企業では申請を行政書士に委託していると聞くが、1名につき16万円前後の料金を請求される。それを嫌って、これまで自分でやってきた。初回は苦労したが、2回目からは片目でケンケンといったところ。何より、節約になるのが喜びである。申請の時期は、転属予定日の3ヶ月前と決めている。申請から資格認定証が届くまでに2ヶ月弱、それを西安へ郵送して北京の日本大使館にビザ申請してから戻ってくるまでに約10日間、その後に航空券を手配する。3ヶ月が適当な期間である。


     西安で準備した申請書一式を携えて、岡山入国管理局へ提出した。赴任は12月6日を予 定している。赴任前には特別研修を行うが、日本式マナーや生活習慣について細かく再指導 する。極端なところでは、自宅に招かれた際の靴の脱ぎ方から靴の揃え方に至るまでだ。そこまでやらないと、本社の先輩社員は認めてくれない。


     


     

     

     

     

     


      新卒者と経験者の採用を同時に

     

     今年秋の募集活動は、新卒者と経験者を平行して進めることになった。経験者募集は本社からの特別依頼で、受注量増に対応するための緊急措置だ。新卒募集だけでも忙しいのにと愚痴ってみても仕方がないこと、喜ぶべきなのだ。経験者募集を先行させた。


     採用条件は大学卒で日本のソフト開発経験がある人と限定したが、これらの条件を無視して応募してくる者が多い。それらを消して人数を絞り、残った中から数名を選んで採用試験行なう。9月末までに採用できたのは、40歳の男性1名。年齢で迷ったが、何事も経験と採用を決めた。面接時に、彼が「本社の西安開設記を読みました。」と言った言葉が強く印象に残っている。


     新卒募集については、希望するレベルの大学からの応募者が少ない。学生たちは就職を諦めて、大学院進学へ進路を変えたように思える。最近は、大学よりも大学院卒の人数が多いと聞く。国慶節休暇明けからは、大学院卒も含めた募集に切り替えていくことにする。

     

     

     

     

     

     

     

     

     

     


     

     

     

     


     

     …10月の西安…

     

     今年3度目の西安出張

      

     新規採用を確実に進めるために、節約を一時忘れることにして西安へ出張した。蘇州と深圳で日本人学校が狙われるという殺伐な事件が起きて、出発前には周りの人達から心配する声が聞こえた。これまで気にしたことなどなかったが、何故か今回は気になっている。


     被害を防ぐ方法として、日本語を話さない、日本人らしい服装をしない、日本式行儀作法を見せないなどが考えられる。だが、どこまでカモフラージュできるか自信がない。中国人とは、姿勢、歩き方、身体の動かし方まで違っている。上海到着後、直ぐに始めたのが無表情への挑戦だ。簡単なことと思っていたが、これが難しくて失敗の連続。日本人であることを再認識させられた。


      西安到着後は、危険など忘れて採用活動を進めた。応募書類をチェックするが、経験者が希望する給料は納得できる額だが、新卒が求める給与は呆れてしまうほど高額である。新卒の世間知らずには困ったものだ。


      書類選考、筆記試験、面接試験を繰り返すが、新卒の合格者は1名だけだった。残る2名 の採用は来春行うことにする。今回の募集で気になったのは、筆記試験の平均点数が急降下したことだ。ゼロコロナ政策時に、オンライン教育を受けた学生が多いことが影響している のだろうか。


      今回の出張でも事件発生。帰国日の岡山便が突然フライト・キャンセルになった。岡山便は朝早い出発なので、前日には上海まで移動しておかなければならない。結果、上海に 2 泊することになり、予定外の支出が発生してしまった。後日調べてみると、上海・岡山 便が週5便から3便に減便されていた。寂しい限りである。

         
         

     

     

     

     

     

     

     

     


     

     …11月の西安へ…

     

      ビザなし渡航が実現

     

     

     11月中旬に、中国と日本のトップが南米のペルーで会談した。握手した際の表情が、これ迄とは違っていた。仲良くしていこうという気持ちが表れているように見えた。数日後、日本人は11月30日から30日間のビザなし渡航を認めるとの発表が中国側からあった。中国政府はやることが早い。1年間の期限つき緩和だが、この制度は是非続けてもらいたい。


      これに続いて、中国と日本を行き来する便が増便になるという発表もあった。日本の主 要空港はその通りだが、地方空港については増便がない。コロナ前のように、岡山空港を 朝出発する便が増便になれば、行きと帰りの上海宿泊費が節約できるのだが。 毎年決算時期が近くなると、頭の中は経費節約のことばかり。困ったものだ。

     

     

     

     


     

     

     

     

     

     

     終わったはずの終活

     

     終活は終わったと思っていたが、大物が一つ残っていた。それは、中国玉器のことで、収 集品はかなりの数になっている。遺産として残しても家族にとっては価値が分からない品 で、今でも邪魔物扱いされている。売却して、老後資金にするのが賢い選択であろう。


     ネット検索で、中国古玉器買取り専門店と書かれた芦屋の業者を見つけた。連絡してみると、玉器の鑑定に何度も失敗して損ばかりしたので、今は取り扱ってないと言う。「中国骨董品の中で、偽物が一番少ないのが玉器でしょう。ペンライト一本あれば確認できるはずです。」これは会話の中で私が言った台詞である。次の業者を探さなければ。 大阪の中心街に中国骨董品専門店があった。ネットで見積もりしてくれるというので、収集品の中から12枚の写真を選び、詳細な作品情報を添付して送信した。


     2週間が経過しても何の連絡もない。電話してみると、聞き慣れた中国語訛りの日本語が聞こえてきた。訊ねると、「メールは見てない。もう一度送ってくれ。」と味気ない返事。骨董屋はこのレベルか と腹を立てたが、老後資金のことを考えて再送信した。だが、その後も連絡がなく、次を探すことにした。


      中国骨董品買取り人気No.1と記載された業者へメール連絡すると、3分後に担当者から訪問見積もりについての提案があった。日本のサービスはこうでなくちゃ。だが、この瞬間から玉収集の歴史が浮かんできて、残しておきたい気持ちと業者と交わした約束が頭の中を行ったり来たり。この状態は、約束した来訪日まで続いた。 準備として、収集品の中から10作品を選び、見積もり時に早期決断ができるようにと、売却額の最低、見込、希望の3種類のリストを作成した。希望額を眺めていると夢が 膨らんでくる。


     ポルシェ、キャデラック、世界旅行など、これからの人生が楽しく思えてくる。この夢、つかの間の甘い夢で終わって欲しくない。 約束の日、10時ピッタリにやって来た。見ると担当者は若く、古玉鑑定は無理だ。そう思いながらも話を続け、終わってみれば2時間が経過していた。写真と資料を持ち帰って検討してみることになった。夢の実現はまだ先のことだ。

     

     

     

     

     

     

     

     

     

     
     …12月の西安 …

     次年度損益計画


     次年度の予算計画を考える上で、最も難しいのが日本円換金レートの予測だ。迷った末に、2024年よりも2%程度円高になる設定にした。自信などなく、期待する気持ちから決めたことだ。今は、来年1月のアメリカ新大統領就任後のドル価格の動きが気になっている。


     特別支出としては、春に日本から 1 組のお客様を迎えること及び1名の本社転属。夏になるとパソコン8台の購入と新卒3名の採用、冬には本社転属1名の予定がある。その他に、 社員の待遇改善と厚生行事を再開したいが、これらは損益状況を見ながら決めていくしか ないだろう。好材料としては、十分な仕事量が確保できそうなことだ。 売上と経費を全て入力して最後のエンターキーを押すと、望んでいた利潤に近い数値が 現れた。これまでにない早い完成である。


     

     

     

     

     

     

     

     

     

     


     冬の庭木剪定

     

    今年夏の猛暑にも負けず、家の庭木たちは力強く枝を伸ばした。元気さは感じられるが、手入れされた庭木の方が好みだ。そこで、休眠期に入る12月から剪定作業を始めた。今年は5年に一度の強剪定の年でもあり、しっかりと小型化していくつもりだ。


      梯子を登り高木の樹冠から始めるが、樹が高くなり過ぎていて危険を感じる。梯子から降 りて少し離れた所に椅子を置き、タバコ休憩をとりながら切断箇所を探っていく。樹冠を切り落とすと、長い時を掛けて樹形を整えてきた努力が無になる。それを思うと、迷いの時間 ばかりが過ぎていく。思い切って結論を出した。高齢者にとっては姿・形よりも、危険を回避することが何よりも大事。梯子から安全に手が届くところで切り落とすことを決めた。だが、鋸の刃を当てると、手が震えて引くことができない。


     再度悩んだ末に出した答えは、この問題は来年に先送りするである。 今回の剪定作業で貴重な教訓を得た。それは、新たに植込んだ幼木たちの樹高は、私の身長の176cmを超えないことだ。


     

     

     

     

     

     

     

     

     

     

     


     2024年の終わりに


     2024年の嬉しい出来事は、西安へ出張できるようになったことだ。2020年1月の西安出張の際にコロナ封鎖に巻き込まれ、パニック状態の中を多くの人に助けられながら2月中旬にやっと帰国することができた。あらからもう4年以上になる。もう一つは、日本円の換金レートが低いままで、損益管理に随分と苦しめられた。


     何の手も打たない日本銀行が悪いと恨みながら、出費を切り詰めることばかり考えてきた。だが、苦しんだからこそ見えてきたものがある。そうれは、社員全員の頑張りで、厳しい円安苦境を乗り越えられたことだ。逞しく育った社員を心から嬉しく思う。