2019年の初めに


     

     2019年の日本の干支は「猪」、中国では「豚」だ。中国から日本に伝えられた十二支の中で、違っているのは「猪」だけ。何故変化したのか。推理してみると、中国は食に対する関心度が高く、日本は勢いへの憧れが強いからという私の勝手な答えが出た。中国人の食に対する拘は強く、美味しいものが食べられるならどんな苦労もいとわないのだ。

     今年の目標は、昨年と同じく「怯まず挑み続ける」に決めた。「怯まず」が元気をくれたからだ。それと、「この一年で会社が変わったね。」と言われるような年にしたいと思っている。また、西安開設記は、西安の最新情報を載せていきたいと考えている。

     

     

     

     

     

     

     

     

     



     


     …1月の西安…

     

     初詣

     

     初詣に選んだのは、弘法大師空海さんゆかりの寺「青竜寺」だ。唐の時代、空海さんはこの寺で3年半修行された。帰国してからの活躍を考えると、こんなにも短い期間に密教を修得できたものだと驚くばかり。青竜寺と四国八十八か所との結びつきは強く、空海碑や桜などが青竜寺に寄贈されている。

     元旦の冷え込みは厳しく、気温はマイナス7℃。顔は青ざめ、身体が強張ってきた。それでも背筋を伸ばし、お線香をお供えし、空海さんに事業の成功をしっかりとお願いした。帰り際に日本人グループと出会ったが、早く暖を取りたくて挨拶しただけでタクシーに乗り込んでしまった。ごめんなさい。

       身体も温まり気分は上々、空海さんゆかりのもう一つの寺「大興善寺」に寄ってみることにした。空海さんの先生である恵果和尚が修行された寺で、空海入唐1200年記念像が設置されている。像の前に立つと、いつも勇気と元気が貰えるのです。大勢の参拝者が訪れていて、西安に仏教信仰が復活してきたように感じました。
     



     

     

     

     

     

     

     

     

     

     

     

     

     



     西安のファッション事情

     

     西安ファッションで好きなところは、どんな服装で外出しても気にならないところだ。思うがまま、気の向くまま、日本では派手さが気になる服装でも、西安では全く気になりません。それに、上品さとかコーディネイトはどうかなどと心配する必要もないのです。

     日本では男性の仕事着はスーツにネクタイと決まっていますが、西安でこんな服装でいると変な目で見られてしまいます。日本でいう普段着が西安の仕事着で、夏はTシャツ、冬はセーターにジャンバーといったところ。西安人は、楽で個性的なファッションから素晴らしいアイデアが生まれてくると言います。この話は信じませんが、西安ファッションに慣れると日本の仕事着が窮屈に思えてきます。

     これまで冬の定番コートは膨れ上がった綿入りで、「芋虫が歩いている。」などと悪口を言っていました。しかし、最近はウールやダウンのコートに変わり、西安ファッションの近代化は急速に進んでいます。

      西安市は、国際的なファッションタウンにしたいと目論んでいます。しかし、国際という意味では上海に追いつくことは無理でしょう。でも、伝統的な中国ファッションタウンを目指せば、西安市の夢が叶うかもしれません。そう言えば、若者たちが唐風ファッションで街を歩く姿を見かけるようになりました。




     

     

     

     

     

     …2月の西安…

     

     春節を迎え

     

     今年も西安で春節を迎える。休暇は2月4日から10日まで。大通りは紅色に染められ、夜間照明は派手な領域を超えて、ここまでやるかといった状況になっている。特に、城壁周辺と大唐不夜城の二か所が、飾り付けで激しく競っている。

     西安市は、「最も中国らしい正月なら西安へ」と全世界に向けてメッセージを発信しました。また、「西安中国年春盛典」と「新時代民族文化年展」という二大行事を、春節時期に合わせて開催します。

     西安市全体の春節飾り投資額は、40億元(675億円)を超えたと聞きました。気になる投資効果ですが、期間中に西安を訪れた旅行者は昨年の30%増の1670万人、経済効果は40%増の145億元(2450億円)になったと地元新聞に掲載されました。

     市街地での花火はPM2.5問題で今年も禁止されました。我慢できない人達は、大晦日の夜になると郊外まで出かけて打ち上げるそうだ。炸裂音を聞かないと新年を迎えられない気持ちは理解できます。大きな音には悪霊を払う意味があり、中国人にとっては春節の大切な行事です。

     西安へ出稼ぎで来ている人達の帰省は早い時期から始まります。テレビ・ニュースで、高速鉄道(新幹線)の混雑した様子が放映されましたが、どの顔も笑顔で普段の表情とは全く違っていました。彼らの休暇は1ヶ月以上、春節前の西安は人通りも疎らになります。

     元旦を迎えると再び人で溢れ、西安らしさが戻ります。ほとんどが観光客で、有名な兵馬俑などは1日の入場者数が11万人を超えたそうだ。地元の人は、「人の頭ばかりで兵馬俑の頭は見えないだろう。」などと冗談を言っていました。西安の一番人気の春節観光スポットに、大唐不夜城(別称:現代唐人街)が選ばれました。未来的なライトアップと光のショーが評価されたのでしょう。

     昨年一年間に西安を訪れた観光客の数は2億4700万人、観光収入は2555億元になったそうです。西安の人気は高まるばかりで、国内観光地人気で一位に選ばれ、「中国で最も幸福感を感じる都市」では7年連続して一位に。国連からは「2018年世界で最も発展の可能性を秘めた新興都市」に選ばれ、産業面での評価も高い。文化面では、昨年「中国書店の都」の称号を獲得、本好きの人達が全国から集まって来る。そういえば、昨年末に日本の書店「TSUTSYA」がお洒落な店舗をオープンさせました。





     

     

     

     



     西安から学んだこと 

     

     西安へ通い始めて14年、西安から学んだことは儲けることへの執念と情熱と欲です。これらから元気をもらい、この歳になっても頑張っていられるのはそのお蔭だと思っています。

     日本人には理解しにくいでしょうが、西安人は人の価値を財産で判断します。つまり、お金持ちが信頼できる人になるのです。「君、マンション幾つ持っているの?」が挨拶言葉になっていて、上限なくどこまでも財を求め続けます。執念が頑張りを生み、情熱と欲が知恵を生んでいるのでしょう。

     役所は、世界一の国際都市だった長安の都を復活させようと積極的に活動しています。繁栄した時代の花と緑の美しい都を目指して、新都市計画がスタートしました。総延長500kmにもなるフラワーロードと市内中心部に600万㎡の公園を整備するのです。西安市は完成するまで躊躇なく計画を進めていきます。この攻め続ける姿勢に魅力を感じます。今の日本は守ることばかり、日本にも「攻撃こそ最大の防御」という言葉があるでしょう。




     

     

     

     

     

     

     

     

     

     


     …3月の西安…

     

      陸のシルクロードが復活 

     

     中国が目指す「一帯一路」計画は着実に進んでいます。昨年春に、日本のテレビ番組でポーランドまで通じた鉄道輸送のニュースが放送されました。昨年末には、日本通運が西安発ドイツのデユイスブルグ行きの自社仕立て専用貨物列車の試験運行を行ないました。

     鉄道輸送は船舶輸送に比べ日数は半分以下、費用は4分の1になるそうだ。デユイスブルグは鉄道輸送の要所で、ヨーロッパの様々な都市と繋がっています。陸のシルクロードは完全にヨーロッパと繋がったのです。日本通運は、今年3月から西安発の定期運航を始めました。

     西安には一帯一路計画を進めるため、西への玄関口としての意欲的な計画があります。一部を紹介すると、自由貿易試験区、空港新城、シルクロード経済ベルトエネルギー金融貿易区、中露シルクロードイノベーションパーク、中国国際シルクロードセンター、新シルクロードデジタル文化・クリエイティブ産業基地といったプロジェクトです。

     中国沿岸部の製造工場が、西安へ移転してくるケースが増えてきました。陝西省政府は工場誘致を加速させるため、市街地周辺の農地を積極的に買い上げています。価格は地域によって差がありますが、家族一人当たり300万元~100万元(5000万円~1700万円)と聞きます。農家へ流れた資金は西安市内の不動産に投資され、マンション建設ラッシュは今も続いています。西安の人口が一千万人を超えるのも近いことでしょう。



     

     

     

     

     

     

     

     

     

     

     

     

     



     西安に残る文化

     

     

     隋から唐にかけての1100年間、西安(長安)に都が置かれました。この時代、長安の都を目指して多くの外国人が集まってきた。この時代からずっと受け継がれている文化があります。それは、旅人を優しくもてなすという文化です。日本流に言えば、道を訊ねたときなどに、「まあ、お茶でも飲んでから。」といった対応で、外国人に優しく、お友達になると自己犠牲してまで尽くしてくれます。

     また、異文化を受け入れる懐の深さがあります。市の中心部「化覚街」に古いお寺が残されていますが、外見は仏教寺院、中に入るとイスラム教のモスクなっているのです。このエリアには、今もイスラム教徒の回民族が暮らしていて、街に入るとイスラム独特の香辛料の香りが漂ってきます。

     西安市は唐時代の華やかさを取り戻そうと、建物の復元に力を入れています。旧市街地にある鐘楼を中心とした商業区が唐風ビルに建て直され、大雁塔地区には新たに大唐不夜城という唐風商業エリアが建設されました。建物の復元は着々と進んでいますが、古き良き時代の人の考え方やマナーといった文化の復元にも力を入れてもらえると嬉しいのですが。




     

     

     

     …4月の西安…


     西安人への愚痴

     


     西安へ通い始めた頃は、日本と違う考え方や文化に戸惑ったり、腹を立てたりしていました。しかし、時の経過とともに西安の常識に慣れ、心穏やかに過ごせるようになりました。でも、我慢できないことが西安にあります。

     第一は、厳重さを持って欲しい。例えば、日程を決めるときに、日本では日時を明確にしますが、西安では何日頃としか決めません。時刻は当日になってからです。のんびりした考え方は嫌いではありませんが、これが仕事となると別問題です。

     第二は、他人の目を気にして欲しい。ゴミをポイ捨てする人、人前で大声をあげる人、口を大きく開けてあくびする人など、日常的に見る光景です。自分がやりたいようにやるのが西安人なのです。日本人は誰かに見られていることを意識して行動しますが、西安人は自分一人だけの世界に生きています。

     第三は、「謝謝」を言って欲しい。日常生活のなかで、「謝謝」の言葉を聞くことは稀です。「謝謝」を言うと損するとか、目下に見られるとでも思っているのでしょうか。道を譲ってあげても、「謝謝」が聞こえてきません。

     第四は、公私の区別をして欲しい。これが西安で一番腹の立つことで、仕事場に私事を持ち込むケースが多く、私事が優先するから余計に悪い。銀行、デパート、レストランなどあらゆる場所に於いてです。目の前に客がいるのに従業員同士のおしゃべりが続いたり、勤務中にネット商品の品定めをするなど、仕事に対する真面目さが感じられません。

     大人たちの習慣が悪く、子供たちもその姿を見て育ちます。良くしていくには、まず大人から直していかなければなりません。近年、政府が「文明な行動をしましょう。」と訴え続けていますが、良くなる兆しが見えてきません。「恥」という考え方が無いのでしょうか。


     

     

     

     

     

     

     

     

     …5月の西安…

     メーデー休暇が突然

     

     昨年12月の「2019年祝日に関する政府発表」では、メーデー休暇は5月1日だけだった。ところが、休暇近くなって5月1日から4日までに変更されたのです。祝日が増えたのではなく、前後の日曜日が振替えられたのです。

     変更が発表されると、4日間もある休暇に旅行しないのは損だと、大勢の人が旅行社へ押しかけたそうだ。中国全土が旅行ブームで、海外旅行、高速道路を使ったドライブ旅行、高速鉄道での国内旅行が人気だ。海外旅行では日本とタイ、国内旅行では西安と上海がトップ争いをしているとか。旅行専門家は、この休暇中に旅行する人は1億5千万人いるだろうと予測しています。

     中国の長い連休には春節と国慶節があり、どちらも期間は7日間。内訳をみると、祝日が3日、休日振替が2日、残りは期間中の土・日曜日を加えたものです。年間の祝日を集計すると、中国は11日、日本は18日になる。つまり、中国にいると7日×8時間=56時間多く働く。多い労働時間が問題ではなく、12月にならないと翌年の祝日が決まらないのが困るのだ。それに、直前になって変更されるのも困る。予定が立たない。

     旅行で思い出したが、この春に桜を見たいと日本旅行した知人は、日本で大型スーツケースを購入。その中に友人・知人から頼まれた品物をいっぱいに詰め込んで戻って来た。中国人による爆買いは下火になったと聞いていたが、手にしているレシートの束を見ると、とても下火になったとは思えない。日本商品の人気が高いのは嬉しいが、日本による経済侵略と騒ぐ人がいるから困る。侵略者のイメージはまだ消えていない。

     


     

     

     

     

     

     …6月の西安…

     

     西安の道路事情

     

      西安では車輌の台数が増えて、交通渋滞が頻繁に発生するようになった。西安市は昨年秋から月曜日から金曜日までの間、ナンバープレート末字による利用制限を実施した。一日につき2つの数字の車が利用できない。この20%カットにより渋滞が少し緩和されたが、土・日曜日の制限はなく、主要道路はいつも渋滞する。いつ目的地に到着できるか分からない状況だ。

     西安市は市街地に3本ある環状道路を、2倍の6環状道に増やす計画を発表した。計画図を見ると、いずれも中心部から離れていて、中心部の渋滞緩和には効果がなさそうだ。高速道路はどうかというと、「12放射路計画」があり、12方向に郊外へ通じる高速道を整備していく。既に出来上がった高速道路もあり、早い時期に整備が終わるだろう。問題は市街地の環状高速道で、現在ある一本だけで増やす計画はない。利用する車も多く、いつも混雑している。ビルの間をすり抜けても地下へ潜ってもいいから、中心街に環状高速道がもう一本欲しい。

     渋滞緩和の一番の解決方法は地下鉄網を整備することだろう。しかし、西安は史跡が多く、いつ完成できるか予測できない。可能な方法とすれば、道路を利用した駐車場が多く残されており、これを無くすと車線が一本増える。それに、西安市が進める緑化運動に反するが、車とバイクを分離するために植えられた樹木を取り除けば、もう一車線増える。また、交差点内に設けたロータリーを無くせば、車の流れは格段に良くなるだろう。

     決定打は、交差点に設置された信号機を全て時差式に替える方法だ。渋滞の主な原因は交差点で起きている。直進車優先の交通ルールを守らない左折車が多く、交差点内で車が睨めっこになる。前が詰まっていても突っ込んでいく車も多い。いったん詰まると、我先にと四方から車が押し寄せる。最後には、身動きが取れない状況になってしまうのだ。その影響が周辺道路に及び、あちらこちらで渋滞が発生する。運転ルールを守りさえすればこのようなことにならないが、西安では交通ルールやマナーを守らせることが一番難しいことなのだ。