2024年元旦に

 

 2024年はスッキリした気分で過ごしたいが、それには日本円換金レートが2020年のレベルに戻り、優秀な人材が採用できることが条件になる。


 今期の運命を決める大切な願い事なので、西安にある空海さんゆかりの寺・青竜寺にお参りしたいところだ。だが、高額な航空運賃と手間が掛かるビザ取得が邪魔をする。元旦の朝、岡山から西安に向かって何度も何度も空海さんにお願いした。


 

 

 

 

 

    …1月の西安…


 当期損益計画

 

 当期損益計画で一番の課題は換金レートの予測率だ。昨年暮れには、今年の為替情報を得たいと経済ニュースを幾つも見たが、専門家によって言っていることがバラバラで全く参考にならなかった。そこで、自力で換金レートの改善率を0.61%と予測して、2024年度損益計画の最終調整に入る。


 第一目標は開発体制の強化で、具体的には増員計画を進めることだ。この背景には、今後増やしていく受注量への対応と本社転属社員の増員がある。どちらも多額の出費を伴う計画で、経費削減が強く求められる。削れるものはこれまでに削ってきただけに、はたして削れる経費が残っているのだろうか。


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 
 経験者募集 

 

 増員目標に向けて、1月2日から経験者募集を始めた。予定人員は3名、過去に一度だけ経験者採用を行ったことがあるが、これまでは極力避けてきた。


 理由は、自社で育てることを原則にしていたからだ。だが、今回はやるしかなく、専門業者に募集記事の掲載を依頼した。2週間で500元(日本円:約1万円)と安価な掲載料だったが、多量の応募書類が送られてきた。失業者が増えていると聞いていたが、ここまでになっているとは予想してなかった。


 日々の報告の中で、応募者の中には退職前の4ヶ月間給料を貰っていないとか、社会保険制度に加入してなかったなどの話があった。これが事実とすれば、労働法を無視したやり方だ。外資系企業は厳重にチェックされるが、地元企業にはノーチェックのようだ。


 避けてきた中途採用だが、良い点が見つかった。新卒のような世間知らずの高額な給料を求めず、人生の目標を持っているところだ。総経理から、新卒採用を止めて経験者採用に切り替えましょうとの提案まであった。



 

 

 

 


 政府から突然に発表

 1月15日に中国政府が突然に発表したという記事が、西安から送られてきた。内容は、中国訪問を希望する日本人のビザ取得が解放され、航空便も改善されるという記事だ。夢見てきたことで、さっそく東方航空岡山支店と旅行社に詳しい情報が知りたいと連絡してみた。


 航空会社からは、スタッフを減らしたので、今は増便など考えられない。旅行社は、ビザ申請は現行通りで、将来的にも簡素化されることはないとの話だった。違い過ぎる内容に、弾んでいた心も落ち込んでいく。


 考えてみると、こんな良い話などあるわけがない。これはフェイク・ニュースだ。良過ぎる話に安易に飛びついてはいけないとの教訓を思い出した。

 

 



 

 

 

 …2月の西安…

 いつまで続く日本産海産物の輸入禁止

 

  昨年8月に中国政府は日本の放射能汚染水の海洋放出を理由に、日本からの海産物輸入を全面禁止した。中国では日本食ブームが続いていて、来日した中国人観光客が寿司屋へ飛び込む様子がテレビ放送されていた。また、香港から中国本土へ日本産海産物を密輸する事件が起きている。


 中国国内でも、中国の漁師さんが捕った海産物が売れなくなり、淡水で育つ上海蟹まで売れなくなったという。中国政府は、いつまで輸入禁止措置を続けるのだろうか。中国の漁業関係者の皆さんと一緒に、海産物輸入禁止に抗議してみてはどうだろう。

 

 

 

 

 

 




 

 

 


 春節を祝う 
  
 

 昨年11月上旬に、中国政府から2024年度の祝日と振替出勤日の発表があった。例年は12月下旬になってからで、これまでにない早い時期での発表だった。今年の春節休暇は2月10日から17日まで、企業に対しては休暇前の2月9日を一斉年休などで休日にするようにとの但し書きがあった。つまり9連休にしろとの政府命令で、これには従うしかない。


 中国の春節休暇には、親族一同が集まって先祖の霊を供養する大事な行事がある。都会へ出て人たちも故郷に戻って参加する。その結果、西安市内は西安人だけになり静かな街に変わる。


 大晦日の夜は家族が集まって年越しの水餃子を食べ、特別歌番組(日本の紅白歌合戦に似た番組)を見て、午前0時になると爆竹を鳴らし花火を打ち上げて新年を祝う。大きな音は悪霊を払う意味があると聞く。ここ数年はPM2.5対策で市内での花火が禁止されたが、今年あたりは我慢できずに花火を打ち上げる人も現れてくるだろう。


 


 

 

 

 

 


  中国のEV車生産は

 

 中国では、国策によりタクシーがLPG車からEV車に変わった。ただ、運転手さんのEV車人気は最悪で、フル充電に毎日4時間、その分営業時間が短くなり稼ぎが減るからだ。


 中国の自動車輸出台数が、昨年日本を抜いて世界NO.1になった。政府の目論見通りだが、EV車の将来は本当に明るいのだろうか。日本部品メーカーへのEV車関連部品の注文が急増しているが、メーカー側は不安があるという。途上国や寒冷地でのEV車需要が伸びないことを心配しているからだ。


 別報道では、昨年の中国車輸出の多くはロシア向けガソリン車で、現在ロシアの50%近い車両が中国製に変わっているという。ロシアのニュース映像からも、中国のチェリー社やジーリー社の車が走っているのが確認できる。


 岡山に中国メーカーBYD社のEV車販売店がオープンした。訪ねてみると、予想していたよりも外観がしっかりしていて綺麗な仕上がりだ。中国車が早いスピードで進歩していることに驚いたが、営業マンの話を聞くとボデイーは日本製とのことだった。内装も豪華に仕上げられているが、座ってみるとどうも落ち着かない。中国人好みの色彩の多さが要因と思える。試乗を薦められたが、丁重にお断りして店を出た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 


 

 …3月の西安…

 西安へ出張できそうだ

  

 3月に入り、中国政府が外国人の訪問を歓迎する対応に政策転換した。15日以内のビザなし渡航ができる国が40ヶ国を越えたが、何故か日本と韓国は含まれていない。それでも、岡山・上海間の航空便が週2便から3便に、5月9日からは週5便に増便されるという。よっしゃ、西安出張の準備に掛かろう。


 まずは、中国ビザの取得からだ。始めてみると、オンライン申請に変わりがないが、昨年までの申請と比較するとプラバシーに触れる項目の殆どが削除されていた。私が申請するのは有効期間が1年のMビザで、1回の滞在日数が30日以内の複数回訪問可能なビザだ。


 次は申請書に添付する写真だ。サイズが3.3cm×4.5cmと厳重で、眼鏡を外した写真しか認めてもらえない。眼鏡がないと、間が抜けた顔になるので好みではない。その他に、西安子会社から発行される招聘理由書が必要で、書類を作成して西安へ送信、総経理の署名と社印を押して返信してもらう。


 これでビザ申請に必要な書類一式が揃ったことになり、代理店に申請を依頼する。中国では提出してみなければ分からない書式変更もあるので、暫くは待機が必要だ。待つこと8日、ビザ証が貼られたパスポートが送られてきた。


 残るは航空券の手配だが、コロナ感染前と違って乗り継ぎが不便になった。上海浦東空港に到着後、上海虹橋空港までバス移動して西安便に乗り換えることになり、西安到着は22時を過ぎた時刻になる。帰国の際は、岡山へは朝の便しかなく、前日に上海浦東空港へ移動しておかなければならない。あれやこれやと不便になったが、今は西安へ行けるようになっただけでも良いと思わなければ。それにしても、チケット代の高騰は異常だ。

     
     

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 春の園芸作業

 

 

 今春の園芸作業は、欲張らずに雑木ガーデンの整備だけにした。加齢による体力の衰えが理由で、後期高齢者にとっては敬明な判断であろう。具体的な作業内容は、育成してきた椿の幼木たちを予定地に植込んで、カメリア・ガーデン化を進めていくことだ。


 冬の間に10年後の幼木の姿を想像しながら植込み場所を検討してきたが、決まるまでに随分と時間が掛かった。理由は、居場所を椿に譲る花木や草花があったからだ。移動する植物にはサツキ、シャクナゲ、カンナがあり、移植先でも快適に過ごしてもらいたいので、検討時間が長くなってしまった。


 植込み作業を始める。まずは引っ越し作業を済ませ、動き始めた雑草を完全に除去。次に、植穴を深く掘って肥料と腐葉土を混ぜ込む。育成してきた幼木を掘り上げて、葉と根を3分の1程落とし、姿を整えてから予定の場所に据える。根と土を馴染ませながら植込み、タップリと水やりしてから支柱を立てて固定する。これで植込み作業は終了するが、根付かせるにはこれから2年間の水やりが大事な作業になる。


 残るは、初冬から楽しませてくれた椿や山茶花の花後剪定だ。感謝の気持ちを込めて、優しくも大胆に切り詰めていく。これは虐めではなく、風通しを良くして病虫害を防ぐための正しい作業である。剪定が終わると花後のお礼肥を施し、殺虫剤を散布して全作業が終了する。最後に、感謝の気持ちを込めて「また綺麗なお花を咲かせてね。」とご挨拶。


 春の園芸作業は、暖かい日差しのもとで心身ともにリフレッシュする。

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 …4月の西安…

 

 万全の準備で上海へ

 

 緊張感無く過ごした4年で腹回りが5cmせり出し、これまで履いていたズボンは着用不可。準備は衣服から始めなければならない。年寄りの体型に合う品が揃っている「J.PRESS」へ直行してズボンを購入、次に帽子購入に「DAKS」へ、そして春に相応しい半袖シャツを求めて「Munsingwear」を訪ねる。残るは有効期限切れになった常備薬や生活雑貨、それに土産の買い出しだ。買物後に気付く品も多く、何度も同じ店を往復することになった。


 押入れの奥に納めてあったスーツケースを取り出し、埃を拭いてから買い集めた品を詰めていく。以前はスーツケース3個で移動していたが、中国入国時の荷物チェックが厳重になったとの情報があり、食料品を外して2個だけにした。最後は重量チェックだが、秤の反応がなく電池切れ状態になっていた。4年という空白の影響は大きく、予定していた準備時間を大きく上回った。


 4月26日、いよいよ出発だ。少々緊張気味だが気分は上々、荷物検査を済ませてチェックインカウンターへ向かう。以前は東方航空のマイレージカードがVIP色(金色)だったが、そのカードも今では期限切れ。特典が無くなり、レッドカーペットを踏むことはできない。
 午後2時岡山空港を離陸、上海浦東空港へは定刻の午後3時35分に到着した。入国審査と手荷物検査を心配していたが、以前と何ら変わらず気抜けしてしまった。それではと、これまで通り外に出てタバコいっぷくだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 
 …5月の西安…

 西安の変化


 西安で驚いたのは、車の半数近くがEV車に変わっていた。僅か4年でEV車がここまで普及していたとは。理由は単純明快で、国の制度がEV車以外の車を買えないような仕組みに変わっていた。


 次の驚きは、街を歩く人が半分以下になっていた。ニュースで知っていたが、これほどとは思っていなかった。外出好きの人が多いだけに、西安にとっては大きな変化である。これは、ゼロコロナで減った預貯金を、以前のレベルまで早く戻したいと外出を我慢しているからだと聞く。


 変化は他にもあった。欧米からの観光客がいなくなり、ロシア人ばかりになっていた。これは、中ロの結びつきが強くなったからだろう。この様子を見ていると、西安の将来が不安になってくる。


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 我社の変化は

 

今回の西安出張は総経理だけに連絡して、社員たちには内緒にしていた。驚かせたいという目論見からで、事務所に入ると全員が驚きの丸い眼。作戦は大成功だ。


 この4年で、皆が大人になったという印象を強く感じた。総経理を中心に協力体制が出来上がっていて、涙がこぼれるほど嬉しかった。喧嘩を売るのが得意だった社員も、今では従順そのもの。何が彼らをここまで大人にしたのだろう。


 重大事件が起きていた。入居しているオフィスビルのオーナーが破産していた。中国で64番目の資産家と呼ばれていたが、話を聞くと多額の借入金に支えられていたようだ。返済金が滞り、今では航空機や高速鉄道に乗れず、一切の贅沢が禁止された生活を強いられているとか。これから進められる処理としては、ビルが他社へ売却されることが考えられる。


 西安で一番安心できるオフィスビルと信じて入居したが、心配しなければならない状況になった。西安で安心して過ごすのはとても難しいことだ。


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 
 …6月の西安…

 夏の玉磨き


 やぶ蚊シーズンが到来して、作業を園芸から玉磨きに切り替える。過去2回の玉磨きの対象作品が明から唐へと時代を遡ったので、この流れに沿って今回は漢の時代から選ぶことにした。漢代は中国を代表する力強いデザインの作品が多く、中国での人気も高い。明や清の時代にも復刻作品が多く作られている。


 今回選んだのは、総重量2090g、横幅30cmの大型作品だ。玉材はやや混ざった色合の青玉だが、大きさに魅せられて2007年に購入した。ホータン玉が採取禁止になり、原石価格が100倍以上値上がりしたことで、大きな作品に憧れていた時期だった。天地平和を祈願するための供物を入れて神様にお供えする祭器で、素朴な姿ではあるが全体に細かな文様が丁寧に施されており、作者の熱意が伝わってくる秀作だ。


 二つ目も祭器で、周りには四神が彫られている。四神とは四方を守護する神聖な空想上の動物で、東を「青竜」、南を「朱雀」、西は「白虎」、北は亀と蛇が合体した「玄武」が担当する。日本でも、奈良高松塚古墳の壁画や薬師寺本尊の台座にその姿を見ることができる。玉材は純潔の象徴である白玉で、透明感のある優質玉だ。


 玉石の色は、白玉に微量な鉱物が混ざることで黄、緑、黒に変化する。純度が高い玉石は白色で、透明度が高く潤いが感じられる。川から採取される玉石の評価が高く、その中でもヨーグルトのような乳白色をした「羊脂白玉」と呼ばれる玉石が最優質とされている。採取量が極めて少ないため高価な玉石になっている。玉質はライトを当てると確認することができるが、軽く叩くことでも確認できる。悠々とした美しい音色が聞こえてくると、それは優質玉なのだ。

 

 

 

 

 

 終活-Ⅳ


 終活の第四弾は撮影機材だ。小学5年生の時に父からカメラをプレゼントされた。それがきっかけで写真撮影を始めて、24歳になった頃に活動を本格化、暗室を設けてフィルム現像から焼き付けまでを楽しんでいた。当時製作したモノクロ写真パネルは、今も自宅の壁に掛けてある。


 使用を停止した撮影機材には、レンジファインダー・カメラのライカM5と35、50、90mmの専用レンズ3本がある。ヨーロッパへ旅行した際にドイツで購入したもので、油絵を見るような発色と静かなシャッター音が気に入っていた。カメラ作りで一切妥協しないのがライカの魅力。故障の心配がなく、大切な撮影時には常に使用した。終活中に未使用のライカ純正ボディケースが出てきてびっくり。すっかり忘れていた。


 その他、行方知れずになっていたコンパクト・カメラのローライ35が箱の底で見つかった。超小型ながらテッサータイプ・レンズの発色が素晴らしく、ポケットに入れて持ち歩いていたことを思い出す。


 その後、使用するカメラが日本製一眼レフカメラに変わり、レンジファインダー・カメラは保管箱へ。また、ソフトな仕上がりが好きでフィルム撮影に拘り続けたが、デジタル化の波に勝てず、フィルム仕様のニコン8mmカメラ、ツワイス・イコン、ニコンF100も箱入りした。


 現在使用中のカメラは、ニコンDf2台に、ズームレンズ3本とマクロレンズ2本だ。全ての機能が自動化されているが、手動操作用のボタンが付いているところが気に入っている。アナログ志向の年寄りにとっては、楽しみながら撮影できる優れものだ。
 さて、肝心の撮影機材の終活だが、保管箱にある機材と買い替えの際に下取りに出さなかった機材が残っている。フィルム現像や焼き付け用機材、それに重い三脚などは、既に後輩にプレゼントしている。


 若い人たちの間で最近古いカメラがブームになっていて、「古いカメラ高価買い取り」のコマーシャルがテレビから流れる。また、骨董番組「なんでも鑑定団」では、古いライカが三百万円と評価をされていた。これらのことを総合的に判断すると、撮影機材は遺産として残しておくべきとの結論に至った。焼物と同様に、撮影機材の終活も効果ゼロに終わってしまった。今後の終活は止めることにする。

 

 

 

 

 

 

 

 上半期の終わりに


 上半期最大の出来事は、西安へ出張できたことだ。4年間耐えに耐えて待ち続けた出張だったので感激も大きい。だが、高い航空賃や乗り継ぎの不便さから発生する宿泊費などで、出張の喜びが半減してしまう。下半期には円安問題が解消され、航空運賃も落ち着いてきて、憂いなく西安へ出張できることを願っている。