|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
2020年の元旦に
2020年の干支は「鼠」、どんな年になるのだろう。鼠は働き者というイメージがあり、しっかり働くことが相応しいように思う。
そこで、今年の目標は「怯まず、しっかりと挑み続ける」に決めた。鼠は多産系なので、もしかすると儲かる年になるかもしれない。
|
|
|
|
|
…1月の西安…
海外事業部長と初詣に
海外事業部長と西安で新年を迎えることにした。部長の西安出張も今回が8回目、すっかり西安のファンになっている。特に食事が気に入ったようで、出発前からあれが食べたいとか、これが食べたいと大騒ぎしている。今回の張り切り様は半端ではなく、大型の超高級スーツケースまで購入した。
12月20日に西安へ移動、諸々の行事を済ませて元旦に初詣に出かけた。行先は空海ゆかりの青竜寺だ。部長の宗派は真言宗で、日本を発つ前にお寺さんに「青竜寺で御札を頂いてくるから。」と約束までしたと言う。中国で御札のことは聞いたこともないので気になる。彼には「中国のことを日本の常識で考えると失敗するよ。」と幾度も注意してあったのだが。
昨年のような厳しい冷え込みはなく、穏やかな初詣になった。参拝客も増え、正月らしい雰囲気が感じられる。住職に御札のことを訊ねると、「そんなもの中国には無いよ。」の返事。そうだろう、だから注意したのに。周りを見渡すと、寺が用意した祈願用紙が目に留まった。これに自分で願いごとを書いて、御札の代わりにしてはどうか。日本人の世話は本当に大変だ。
|
|
|
|
帰国社員の研修発表会に参加
1月3日に、帰国休暇で西安へ帰省している社員2名の日本研修発表会を開いた。聞かせたい相手は新入社員たちだ。彼らが、日本語をしっかり勉強して早く日本へ行きたいと思ってくれれば大成功。
この会を始めた頃に失敗したことがある。日本での生活の感じ方は人それぞれで、逆効果になるような発表をした社員がいた。日本が好きになれなかったのだ。それ以来、発表前には総経理の原稿チェックを受けることを義務付けている。私からも、「総経理からOKが貰えないと、あなたの帰国チケットはキャンセルするよ。」と脅迫している。
その効果か、2名とも素晴らしい発表だった。新入社員たちの目が輝きを増した。満足、満足。発表後には、帰国社員が持参した日本土産を全員でいただくが、土産までお洒落になってきた。
|
|
|
|
|
春節に大騒動
春節行事参加のため、一度帰国することにした。紅色に染まった春節の街を見るのが楽しみだが、武漢で発生した新型コロナウイルスが気になる。
私は大丈夫と信じて、1月20日に西安へ戻った。23日までは普段通りに過ごせたが、春節休暇が始まった24日に状況が一変した。外出時のマスク着用が義務付けられ、訪問や会合が禁止。25日には、観光施設が閉鎖、交通機関は運休、高速道路も一部が閉鎖になった。 26日にデパート、劇場、レストラン、オフィスビルなど、人が集まる場所は全て閉鎖、開いているのは薬局だけ。勿論、春節に参加予定していた行事は全て中止。その後、外出まで禁止された。これからどうなるのだろう。
|
|
|
|
|
…2月の西安…
はたして帰国できるのか
政府の発表で、春節休暇が2月2日まで延長され、その後再び延長されて2月9日までになった。経済活動は完全にストップ。この状況では、早く帰国した方が良さそうだ。航空券の予約変更を試みるが、ダイヤが混乱しているため航空会社への電話が全くつながらない。思い付いたのが、東方航空の岡山空港事務所だ。連絡すると、空港スタッフが「大変お困りでしょう。こちらでキャンセル手続きを執らせていただきます。」と優しい対応。
次は帰国便の手配だが、いつ外出禁止が解かれるか分からない。勝手に決めるしかなく、東方航空・岡山営業所へ連絡した。すると、上海・岡山便は2月の全便が欠航になっていた。「日本であればどこでもいいから。」と涙声でお願いすると、「ご安心ください。必ず日本へお戻り頂きます。」と、天使のような声が聞こえてきた。数日して、広島便が手配できると連絡があった。検討の余地無し、この便に決める。幸いなことに、外出禁止は移動日の2日前に解除された。
連日連夜、西安市は徹底した殺菌作業を行なってきた。今では、無菌状態になっていると思われる。心配は移動中の感染だ。西安空港へ着くと人影はまばら、搭乗者も一けた台と少ない。上海空港ではほとんど人がいない状況だった。これで安心、感染の心配は無くなった。
定刻に広島空港へ到着、緊張感は疲労感に変わった。帰宅後、自主的に2週間自宅待機したが、これは社会人になって初めての長期休暇になった。
中国では政府の命令が絶対で、外出禁止や都市封鎖などの徹底した感染防止体制がとれるが、日本では実施が難しいだろう。これからの日本が心配だ。
|
|
|
|
…3月の西安…
事業を再開
西安市は感染拡大阻止に成功、企業は3月2日から業務を再開できることになった。但し、衛生局のチェックをパスすることや消毒薬、マスク、体温計等の準備が必要だ。
社員の健康状態を事前に登録、2日にPCR検査を受け、3日から仕事を始めた。仕事ができるようになると気持ちが落ち着くものだ。だが、1ヶ月間の操業停止は会社にとっては大きな痛手だ。鼠年は儲かる年と期待していたが、考えが甘かった。
|
|
|
|
西安へは
毎年3月には2週間程度西安に滞在してきた。しかし、今年は西安へ行くことが出来ない。会社のことが気になるが、どうすることもできない。
西安開設記のことも気になる。西安滞在が無くなるということは、掲載記事が無くなる。10年以上続けてきて、ここで中断するのは悔しい。西安生活14年の意地にかけて、これまで西安で経験してことや感じてきたことを書かせてもらいます。
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
西安の悩み
西安で生活を始めて14年、ずっと悩んでいることがある。それは、人により考え方や認識が大きく違っていて、西安には常識と言えるものがない。常識的にはと訊ねても、「そんなもの西安にはないよ。」だ。日本では常識的にという基準があり、それに準じて物事を判断すれば間違いを犯すことが少ない。西安には常識がないから、悩んだり迷ったり失敗したりする。
気を付けなければならないこともある。中央政府から新しい法令が発表されても、国から省へ、省から市へ、市から区に届くまでに、担当者間で理解にズレが生じてくる。区から発表があるまで待たなければ、慌てて準備しても水の泡になる。 中国は法律と制度が世界一多い国で、詳細な部分まで明文化されていると聞く。しかし、理解の仕方に違いがあり、担当官によっては最終的な結果まで変わることがある。西安で事件・事故のテレビ報道を見ても、インタビューを受ける人により、被害者が加害者になったりもするから驚く。考え方は各人バラバラ。個性を重視するする国だから現われる現象だろうか。西安の常識についての悩みは、これからも解消されることはないだろう。
|
|
|
|
|
|
|
|
西安の医療事情
2011年2月に西安でインフルエンザにかかり、病院で治療を受けている最中に気を失ない、集中治療室へ運び込まれたことがある。それ以来、西安で病気になるのが怖くて、日々健康管理に努めている。勿論、インフルエンザの予防注射も毎年受けている。
数か月前、西安の知人が日本で診療を受けたいと岡山へやって来た。西安で治療を続けているが病状が良くならないし、病状の説明や治療に関する指導がなく不安になったと言う。
以前にも書いたが、西安の総合病院には受入限度の3倍を超える患者が押しかけ、まるで出勤時のターミナル駅のような賑わいになる。お医者さんも患者一人ひとりに多くの時間は割けない。だから、西安の病人は常に不安を抱えながら治療を続けることになる。西安には町医者制度がなく、患者は限られた総合病院へ行くしかないのだ。
日本での診察結果は、西安とは病名も治療薬も違っていた。2回の診療と1週間の薬服用で症状が良くなってきた。診察してくれた先生は、中国の医療技術は進歩しているので、中国で治療を続けるようにと言われた。しかし、私は疑問に思う。日本人が多く住む上海には10施設以上の日系病院があり、日本人の先生たちが行き来しながら交替で勤務している。また、西安では、日本で検査や治療を受けるための手配を行なう専門会社が繁盛している。その他、西安の病院から海外研修に出かける先生は多いが、誰一人戻ってないと聞く。中国の医療は本当に進歩していくのだろうか。
|
|
|
|
…4月の西安…
西安からマスクが届く
昨年暮れに購入したマスクの在庫が乏しくなり、ドラッグストアに立ち寄っているが、この1ヶ月間在庫無しの日が続いている。コロナウイルスとの長期戦に備えてマスクの消費を抑えるしかなく、2週間に2枚のペースで日替わりで使用している。そんな折、西安責任者からマスクを送りましょうかと連絡があった。
ありがたいが、送る方法があるのだろうか?これまで利用してきたEMSは、既に受け付けもしてもらえない状況だ。訊ねると、特殊なルートを利用して郵送するとのことだ。諦めない精神の大切さを改めて感じた。
西安発送当日は多くの人が運送会社に押しかけ、4時間半待ってやっと受け付けてもらえたそうだ。昼食抜きで頑張ってくれたこと、心から感謝します。発送から10日後の4月中旬にマスクは届いた。これで、在庫を気にせずマスクが使える。 |
|
|
|
田七人参は凄い
2013年から飲み続けている漢方薬がある。日本名は田七人参、中国名は三七人参だ。種を蒔いてから収穫するまで、3年から7年かかるところから名前が付けられたと聞く。中国南部の雲南省、広東省、広西省の標高2000mの高地で栽培され、日本で知られている高麗人参とは親戚関係になる。
中国では古くから飲まれていて、明代の著名な薬学者が「金不換」、つまり金に換えるここができないほど高価で価値があると本に書いている。高麗人参の3倍から7倍も多く含まれるサポニンと田七ケトンが血液を浄化し、新陳代謝を活性化させ、肥満まで防止してくれる。更に、ケトンAには血栓の除去や血中コレステロール値を下げる効果がある。飲んで良く、塗っても良いといわれる珍しい漢方薬で、ケトンBには外傷による過剰な出血を止める効果まである。副作用がないことでも知られ、老人には免疫力向上や滋養強壮薬として服用されている。
飲み始めたきっかけは肩こり対策で、自宅近くの漢方薬局を訪ねたことからだ。漢方医から田七人参を薦められた。しかし、2週間分が25000円と高価だった。気持ちを察してか、西安で調達する方法を薦められた。
訪ねたのは、中国で買うならこの店と教えてもらった北京同仁堂という中国No.1の薬局だ。中小の薬局では、偽物を売り付けられる危険があるそうだ。訪ねた店はオープンしたばかりで、会員になれば2割も割引してくれるという。直ぐに登録手続きを行った。
上質の田七人参を選んで粉にしてもらう。混ぜ物がない純粋サプリメンの出来上がりだ。値段は日本の8分の1程度である。自覚できる効果としては、肩凝りが消え、腰痛が無くなり、食事とタバコが美味くなった。
日本で毎年人間ドッグ検診を受けているが、田七人参を飲み始めてから検査結果は血圧、コレステロール値ともに正常、尿は綺麗で全く問題なし。唯一つ、中性脂肪値が高いとだけ言われる。医者は喫煙と運動不足が原因だと言うが、喫煙を止めるなんてとんでもない。 |
|
|
|
…5月の西安…
春期募集は
春期募集が始まる2月に新型コロナウイルス騒ぎがピークを迎え、大学が休講になり会社説明会を開くことができなくなった。ネットで募集するしかなく、操業を再開した3月初旬に大学ネットに募集広告を掲載した。学生にとっても今年は厳しい就職状況らしく、予想以上の応募がある。 採用を決めるまでの手順は、オンラインTV上での口頭による技術試験と面接試験、それに合格した学生を会社に呼んで最終審査を行う。春期募集は全て西安責任者に任せた。5月中旬、採用を決めた学生と雇用契約を結び、春期募集が終了したと報告があった。
例年、初めて会う学生と面接するのを楽しみにしてきたが、今年はコロナウイルスに邪魔されてしまった。秋の募集までに、この騒ぎが治まってくれることを願っている。 |
|
|
|
メイド・イン・ジャパンへの拘り
15年程前の話になるが、大連の取引先から技術者を日本に招いたことがある。彼のカメラ購入に付き合った時の話で、希望の機種を購入してホテルに戻ったが、裏面にメイド・イン・チャイナと書かれてあり、彼は一人で店に戻ってメイド・イン・ジャパンと交換してもらったそうだ。 理由は、中国製では友人に自慢できないからだと言っていた。メーカーが同じなら一緒だろうと思っていたが、調べてみると日本と中国では品質基準が違っていた。
西安へ行ったり来たりしている私の情報が広まり、日本での買物を頼まれるケースが増えてきた。増えたことで、新たな苦労が発生するようになった。日本ではメジャーではない品が含まれるようになったからだ。初めて耳にする品などは、安心・安全を確かめるだけでも手間がかかる。それに、購入先がデパートだけでなく、スーパーマーケットやドラッグストアまで広がり、買い物に費やす時間が数倍になった。
それでも喜ぶ顔が見たくて走り回っているが、元気が無くなる話もある。苦労して運んだ電気器具が、もったいないからという理由で2年間箱に入れたままになっているとか、ハンカチが壁飾りに、鉄瓶が唯の飾り物に、衣類は汚れるからとタンスにしまわれたままといったことだ。買主の自由ではあるが、私は使ってみた感想が聞きたい。いつまでメイド・イン・ジャパンの買物を受けるべきか、今悩んでいるところだ。
|
|
|
|
…6月の西安…
西安人の服選び
上海の服装には違和感がないが、西安の服装には首を傾げてしまう。西安人が服を選ぶときの考え方は、「人から注目されなければ、わざわざ買う必要などない。」が一般的。結果、原色に近い目立つ色、光物が付いた派手なもの、複雑で個性的なデザインの服を選ぶ。西安では、さりげないお洒落はお洒落にならないそうだ。服は人に見せるためのものだ。
私の服選びは単純で、自分に似合うかどうかだけで他人のことは一切気にしない。シンプルなデザインで自然に近い色、お洒落さが少し感じられるものであれば申し分なし。拘りがあるとすれば素材の良さだけだ。
頑固な性格の私だが、西安滞在が長くなってきたせいか、服選びにも変化が出てきた。若い頃に着ていた服を、衣装箱から引っぱり出して西安で着るようになった。日本では、「年寄りにはちょっと派手じゃない。」と言われそうな服である。西安ではこれらの服の評判がすこぶる良く、褒められると嫌な気はしない。私の信念が揺らぎ始めた。
いずれにしても、控えめな上品さを求めるか、人から注目される派手さを求めるかは個人の自由であろう。どちらが良くて、どちらが悪いというものでもない。拘りを捨て、両方を楽しめるようになるのが理想なのかもしれない。
|
|
|
|